社会福祉法人　山梨県社会福祉事業団のホームページ

令和５年度の事業団の経営は、新型コロナウイルス感染症が季節性インフルエンザと同じ５類相当に引き下げられ、公的な支援が終了する中で、感染者の対応に追われるとともに、電気料をはじめとした物価高騰により、極めて厳しい状況が続いたが、「利用者本位」、「健全経営」、「地域貢献」の基本理念の下、利用者に良質なサービスを提供する中で、安全、安心、快適な生活を支援するとともに、効率的で透明性のある自主運営を進め、地域に密着したサービスの提供に努めてきた。

その概要について、以下のとおり報告する。

高齢者、障害者、児童の多様なニーズに対応するため、施設ごとの特性に応じた利用者支援に努め、利用者一人ひとりのＱＯＬの向上に努めた。

利用者のニーズを的確に把握し、利用者の視点に立った質の高いサービスを提供するため、各施設において、サービスの「自己評価」と利用者に対する「顧客満足度調査」を実施し、サービス向上に取り組んだ。

「コンプライアンス行動規範」及び「コンプライアンス行動基準」により、利用者のより一層の権利擁護を図り、利用者志向の職務遂行と良質かつ適切なサービスの提供に努めた。また、リスクマネジメントを徹底することにより、介護事故と施設内虐待の未然防止に努めるとともに、新型コロナウイルス感染症については、感染症用の事業継続計画（ＢＣＰ）を改定して、日々の衛生管理体制を強化し、事業団内での感染拡大防止のための情報共有に努めた。

職員自らの業務改善提案を通じて施設運営への参加意識を醸成し、組織の活性化を図るため、職員提案・職員表彰制度を実施し、令和５年度は２７件の提案に対し２５件を採択し、利用者へのサービス向上やリスク管理、業務の効率化等に効果を上げた。

介護や支援に対する相談、苦情又は要望への相談体制と第三者による相談対応窓口について、利用者や家族に周知するとともに、職場におけるハラスメント防止に関する細則や相談対応マニュアル等に基づき、職員からの相談や苦情に迅速かつ適切に対応した。

職員の意識と介護技術や専門性の向上を図るため、感染防止に配慮する中で、対面型研修を実施するとともに、Ｗｅｂを活用したオンライン研修を併用実施して、人材育成によるサービスの質の向上を図った。

①　「経営計画」に基づいて設定した目標利用率を達成できるように、市町村など関係機関と連携を密にして利用者確保及び入退所期間のタイムラグの短縮に努めた。

②　消防設備保守点検業務、施設の火災保険等の一括入札の継続、補助金を活用して豊寿荘の施設内照明のＬＥＤ化工事を実施するとともに、給食消耗品の法人一括発注、医療消耗品の一括発注の準備など、経費削減に努めた。

③　人件費の適正化等のため、ベースアップ等支援加算等の導入、賞与計算や住居手当の見直しを行うとともに、県の支援金を活用した物価高騰対策支援手当等や国の補助金等を活用した処遇改善臨時手当等を支給した。

④　厳しい経営状況下にあるサテライト桃源荘については、経営コンサルタントに委託して、改善に向けた現状分析を進め、次年度にこれを踏まえた取組方針案を検討することとした。

事業計画、収支予算等の決議、事業報告、計算書類等の承認等を行うため、書面開催を含め、年３回、理事会を開催した。

事業計画、収支予算等の承認並びに事業報告及び計算書類等の承認等を行うため、年２回、評議員会を開催した。

業務の実施状況及び財務状況を監査するため、監事会を開催した。

毎月、定例的に、理事長、施設長等で構成する経営会議を開催し、経営に関する基本方針等の重要案件を協議するとともに、各施設の利用状況を検証し、対応策等を検討した。

また、経営会議の下部組織として、事業団職員で構成する「サービス向上部会」、「研修部会」等を設置し、利用者サービスの向上対策、研修内容の改善、その他経営会議の業務に必要な事項について調査研究を行った。

イ　大学や専門学校と連携して新卒者の確保に努めるとともに、実務経験を有する者についても積極的に雇用した。

特に、正規職員の採用に当たって、新規学卒者中心の年度採用については、通年募集により、採用試験を７月以降、毎月実施して、その都度、採用内定を出すこととし、令和６年度の採用予定者は、新規学卒者１０名を含む１５名を確保した。

更に、実務経験を有する者の中途採用については、紹介職員に報奨金を支給する職員紹介報奨制度により２名を採用するなど、正規・契約職員合わせて１６名を確保した。

ロ　全職員を対象に人事考課を実施し、職員の昇給（降給）、賞与等に的確に反映させることにより、職員処遇の公正化、職員の意識改革・能力開発及び組織運営の効率化を図った。

ハ　全職員を対象にストレスチェックを行い、職員のストレスの程度を把握してメンタルヘルス不調を未然に防止し、働きやすい職場づくりを推進した。

ニ　「コンプライアンス行動規範」、「コンプライアンス行動基準」に基づいてコンプライアンスの徹底を図り、職員が働きやすい環境の整備等に取り組むとともに、チェックシートにより、職員各自がコンプライアンスを自覚し、実践してもらうことに努めた。

更に、職場におけるハラスメント防止の徹底を図るため、研修の内容充実を図り、複数回開催した。

ホ　「働き方改革」による年５日の年次有給休暇を確実に取得するため、定期的に経営会議で職員の有給休暇の取得状況を報告し、有給休暇取得を促した。

障害の有無に関わらず、誰もが活躍できる社会の実現のため、障害者の雇用に努め、令和５年度の実雇用率は、前年度を０．０３％上回り、２．１１％となったが、引き続き、法定雇用率をクリアできるように努力する。

事業団ホームページにより、各施設の事業内容や決算状況、求人情報等を発信するとともに、インスタグラムにより、採用情報だけでなく事業団の行事や研修等の多様な情報を掲載し、事業団の生の情報を積極的に発信することに努めた。

事業団の運営をより一層発展させるため、全国社会福祉事業団協議会、山梨県社会福祉法人経営者協議会等との連携を推進した。

「経営計画」に基づく整備を進めるとともに、県等の補助金を活用しながら必要な施設・設備等の整備を行った。

また、もえぎ寮の移転改築については、清水建設株式会社から大月市猿橋町桂台地内の土地の無償譲渡を受けることとし、地元住民への移転改築に係る説明会も実施して移転の目処を付けた。

○　主な施設・設備等の整備

・豊寿荘　　　　　　蛍光灯照明のＬＥＤ化（９，６１４千円）

　　　　　　　　　　屋外空調機器の修繕（５，３７９千円）

　　　　　　　　　　食器洗浄機の更新（９５９千円）

・桃源荘　　　　　　給水加圧ポンプの更新（１，８００千円）

・きぼうの家　　　　移乗介助用リフトの購入(４４７千円)

・はまなし寮　　　　睡眠見守りシステムの導入（６９７千円）

　　　　　　　　　　居室ドアの設置（４０７千円）

・事務局　　　　　　サーバー等の更新（４，６０７千円）

〇　もえぎ寮移転改築関係

・譲り受ける財産及び数量

　土地　　　大月市猿橋町桂台三丁目

　　　　　　　３６－１～８、３７－１～６、３７－２２～２６

　　　　　　　（１９区画　公簿面積４，０９７.３９㎡）　

質の高いサービスを提供し、将来の施設経営を担う優秀な介護・福祉人材等を確保するため、大学や専門学校に加え、新たに、高等学校を訪問し、高校新卒の正規介護職員を１名確保することができた。

また、新卒者がコミュニケーションを取りやすい若手職員で構成する人材確保部会を新たに設置し、就職説明会や職員の母校訪問等のリクルート活動への参加、人材確保に必要な意見、アイデア等を出してもらう等の取組を行った。

更に、山梨日日新聞に２回にわたり、求人広告を出すなど、多様なリクルート活動を積極的に実施した。

また、「介護職員処遇改善加算」及び「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」の継続活用、「ベースアップ等支援加算」の導入、県の支援金を活用した物価高騰対策支援手当等の支給、国の補助金等を活用した処遇改善臨時手当等の支給を実施し、職員の処遇改善を行うとともに、多様な職員研修を実施する中で人材の育成に努め、将来の事業団を担う職員を養成した。

更に、福祉人材育成への協力と人材確保のため、インターンシップや実習生の受け入れを行った。

職員相互の親睦と職場の活性化を図るため、レクリエーション事業等を実施した職員互助会に対し助成するとともに、職員の福利厚生充実のため、継続して、全事協年金共済事業及び福利厚生センター等に加入した。

また、職員の健康診断や３５歳以上の職員を対象に人間ドック助成事業（５年に１回、３万円を限度：５名に助成）を実施した。

新型コロナウイルス感染症の影響で、各種行事や交流事業等の実施がままならない中でも、施設周辺地域の清掃活動への参加、インターンシップや実習生の受け入れ等を行った。

また、感染防止対策を行う中で、各種団体等に事業団（きぼうの家）研修室等を開放した。

①　大規模地震や豪雨災害、火災等を想定した避難・防災訓練を実施し、非常時における利用者の安全確保に万全を期すとともに、大規模災害発生時の事業継続に必要な災害用備蓄を進めた。

また、浸水によるデータ喪失に備え、継続してバックアップサーバーを設置した。

②　毎年度、はまなし寮で実施している富士山噴火避難訓練は、施設車両の招集・乗車訓練を再開し、本部との避難連絡、避難準備品の確認等の訓練を実施した。

③　事業団全体の新型コロナウイルス感染症対策を医療的な見地から指導、助言、相談を担う専門職員を設置し、施設のゾーニング、ガウンテクニック指導等を行うとともに、専門職員がクラスター等の発生した施設の状況を検証し、対策と課題について、経営会議で情報共有を図った。

更に、感染症用事業継続計画（ＢＣＰ）や衛生管理・感染対策マニュアルに基づく研修やシミュレーションを実施するとともに、ＢＣＰについては、感染対策を踏まえて改定を行った。

④　防犯・安全対策を推進するため、防犯カメラ等を引き続き活用した。

大規模災害の発生時に、地元市町の要請に応え、地域の高齢者や障害者など災害時要援護者を可能な限り受け入れる「福祉避難所」を設置することとしており、きぼうの家においては、洪水発生時等の地域住民の一時避難場所として、非常備蓄品の整備や駐車場の解放等の協力体制を継続して確保した。