令和7年度事業団経営の基本方針について
Ⅰ 基本方針
昨年12月、独立行政法人福祉医療機構が特別養護老人ホームを運営している全国の社会福祉法人538法人を対象に実施した「社会福祉法人経営動向調査」の結果によると、全体の59.0%の法人が物価高騰により経営への影響を受けていると回答しており、そのうち、特に影響を受けているものとしては、水道光熱費が63.1%で最も多く、給食費が59.5%と続いています。
また、法人全体で挙げられた経営上の課題としては、職員の確保難が73.1%となっています。
こうした状況は、当事業団においても同様であり、慢性化している人材不足はもとより、水道光熱費の負担増に加え、給食費についても年度中途に給食業者から業務委託費や食材費の増額要求を受けるなど、大変厳しい経営環境にあり、今後も、関係機関との連携を図りながら、国や県をはじめとする関係自治体へ施策の充実を求めるとともに、自らも持続可能な経営を維持し、利用者の皆様に質の高いサービスを提供するため、効率的なコスト管理と人材確保に最大限努めていく必要があります。
また、利用者の高齢化と障害の重度化、施設の老朽化が著しいことに加えて、現敷地のすべてが土砂災害警戒区域に含まれているもえぎ寮については、今年度、新施設の建設工事に着手できる運びとなりました。
利用者の皆様の安全・安心で快適な生活環境や、より良いサービスの提供、職員の働きやすい職場づくりのためには、厳しい経営状況の中にあっても移転改築事業の推進が最優先の課題となっており、明年度の供用開始に向けて、引き続き計画的かつ着実に事業を推進する必要があります。
また、事業団運営の指針である経営計画については、今年度が現計画の最終年となることから、明年度以降を計画期間とする新たな経営計画を策定します。
策定に当たっては、65歳以上の高齢者人口がピークを迎える一方で生産年齢人口が急減していく2040年を見据えた社会保障制度の変革や、「施設サービスから在宅サービスへ」「障害者の地域移行・地域生活支援へ」「家庭的養護の推進」といった大きな流れ、現下の厳しい経営環境などを踏まえた、実効性のあるものとする必要があります。
事業団としては、こうした課題に的確に対応していくため、全ての職員間での情報共有や共通理解を図りながら、「利用者本位」「健全経営」「地域貢献」の基本理念の下、一丸となって取組を進めていくこととします。
1 利用者本位(質の高いサービスの提供)
サービスの自己評価、顧客満足度調査などにより、利用者一人ひとりのニーズを的確に把握し、その意向を尊重するとともに、高齢化・重度化を踏まえた良質なサービスを提供します。
「コンプライアンス行動規範」及び「コンプライアンス行動基準」の理解と徹底により、利用者の権利擁護をより一層図るとともに、リスクマネジメントを徹底することで介護事故の防止に努めます。
職員提案・職員表彰制度、相談解決体制や職員研修の充実などにより、利用者志向の職務遂行に努め、利用者本位の実現に取り組みます。
感染症対策用の事業継続計画(BCP)とマニュアルの徹底により、感染症対策を確実に実践しながら、
利用者の皆様の生活の質や生きがい対策の観点から、可能な限り行事や余暇活動を実施します。
2 健全経営(持続可能な経営基盤の確立)
サービス活動増減差額の黒字化を目指して、設定した目標利用率を達成できるよう利用者確保に努めるとともに、職員のコスト意識を高め、職員が法人の経営状況等を理解して、主体的に施設や法人の運営に参画する取組を進めます。
各種加算制度の更なる取得や、法人一括契約の推進などの事務事業の見直し、ICT化、経費節減に積極的に努めます。
適正な人員配置と組織体制の強化に努めるとともに、質の高いサービスを安定して提供できるように人材の確保と育成を図っていきます。
3 地域貢献
地域の多様な福祉ニーズに的確に対応し、地域との共生を進めるため、施設機能の活用・開放に積極的に取り組むとともに、地域における公益的な取組として、認知症サポート事業所等の活動を推進し、地域住民の皆様から頼られる福祉の拠点施設としての機能発揮に努めます。
大規模地震や豪雨災害、富士山噴火等の大規模災害に備えた危機管理体制を整えるため、各施設の事業継続計画や大規模災害時避難計画を適宜見直すとともに、大規模災害の発生時にあっては、これらの計画に基づき、施設利用者の生命の安全を最優先に良質なサービスを継続して提供し、併せて地元市町の要請に応え、地域の高齢者や障害者など災害時要援護者を可能な限り受け入れます。
児童の一時保護委託の受け入れ強化や、地元市町の子育て短期支援事業の積極的な受託により、地域が安心して子育てできる環境づくりを支援します。
Ⅱ 具体的な主な取組
今年度は、Ⅰの基本方針により、施設運営や事業を実施していくこととしますが、事業団として特に力を入れる取組・事業については、次のとおりです。
1 質の高いサービスの提供
アンガーマネジメント研修やハラスメント研修を重点的に実施するとともに、接遇マナー研修等を新たに導入します。
介護職員の新人育成の強化と人材の定着を図るため、研修部会において人材育成マニュアルを作成するとともに、事業団全体に係る人材育成の体制づくりや必要な研修等について研究・検討を行います。
もえぎ寮においては、移転改築を見据えて取り組んでいる、障害の特性に合わせた個別支援について本格的導入を図るとともに、利用者の皆様の新施設に対する不安感を払拭するなど、円滑な移転を実現するための個別支援を実施します。
2 持続可能な経営基盤の確立
社会福祉法人を取り巻く情勢や事業団の厳しい経営状況を的確に捉える中で、課題を明確化し、着実で実効性のある目標、将来的なビジョンを示すとともに、事業の進捗管理や職員の経営意識の醸成に資する新たな経営計画を策定します。
昨年度改定された介護報酬・障害福祉報酬に対しては、各種加算制度検討部会の検討結果をもとに、各種加算の計画的な取得に努めます。
経営改善計画を策定し、取組に着手しているサテライト桃源荘については、施設全体での事業活動資金収支差額の黒字化を目指すという改善目標の達成に向けて、引き続き現場職員との共通理解を図りながら、事業団、施設が一体となって取組を推進します。
国・県の方針により措置児童数が減少傾向にある明生学園については、施設の多機能化を図るため、一時保護専用施設の開設に向けて取り組みます。
3 人材の確保
慢性的に不足する介護・福祉人材等の確保のため、新卒者については、若手職員中心で組織した人材確保部会、大学や専門学校、高等学校へのリクルート活動などの取組を一層強化しつつ、引き続き採用要件の緩和も検討します。
中途採用者については、人材紹介サービスや職員紹介報奨制度の活用を通じて、積極的に採用活動を行います。
昨年度から勉強会を開催して研究を進めてきた外国人人材の確保については、今年度は、より具体的に検討を進めます。

