令和4年度 事業報告及び決算報告
当事業団の令和4年度における事業報告及び決算報告については以下のとおりです。
令和4年度 事業報告
総 括
Ⅰ総括
昭和41年3月15日に社会福祉法人として設立認可を受けてから57年余が経過する中、事業団は、県から移管を受けた高齢者施設2施設、障害者支援施設3施設及び児童養護施設1施設と、平成27年3月に開設した特養、デイ、居宅等の複合施設であるサテライト桃源荘の計7施設を運営し、平成17年に自主運営に移行してからは、より完全なる自主自立運営に邁進してきた。
令和4年度の事業団の経営は、新型コロナウイルスの感染拡大による利用率の低迷や、過去に例がないほどの物価高騰の影響により、極めて厳しい状況が続いたが、事業団としては、令和3年度に改定した「経営計画」に基づき、基本理念である「利用者本位」、「健全経営」、「地域貢献」の基本理念の下、利用者に良質なサービスを提供する中で、安全、安心、快適な生活を支援するとともに、効率的で透明性のある自主運営を進め、地域に密着したサービスの提供に努めてきた。その概要について、以下のとおり報告する。
1 利用者本位
(1) 各施設の特性に応じた利用者支援
高齢者、障害者、児童の多様なニーズに対応するため、施設ごとの特性に応じた利用者支援に努め、利用者一人ひとりのQOLの向上に努めた。
(2) 自己評価と顧客満足度調査を活用したサービスの向上
利用者のニーズを的確に把握し、利用者の視点に立った質の高いサービスを提供するため、各施設において、サービスの「自己評価」と利用者に対する「顧客満足度調査」を実施し、サービス向上に取り組んだ。
(3) コンプライアンスとリスクマネジメントの徹底
「コンプライアンス行動規範」及び「コンプライアンス行動基準」により、利用者のより一層の権利擁護を図り、利用者志向の職務遂行と良質かつ適切なサービスの提供に努めた。
また、リスクマネジメントを徹底することにより、介護事故と施設内虐待の未然防止に努めるとともに、新型コロナウイルスについては、安心してサービスを利用していただくため感染防止対策の徹底を図ったが、複数施設でクラスターが発生し、その対応に追われた。そうした経験を踏まえ、日々の衛生管理体制を強化し、事業団内での感染拡大防止のための情報共有に努めた。
(4) 職員提案による介護・支援の改善と活力ある職場の創造
職員自らの業務改善提案を通じて施設運営への参加意識を醸成し、組織の活性化を図るため、職員提案・職員表彰制度を実施し、令和4年度は17件の提案に対し16件を採択した。
制度創設から改善等が逐次なされてきたことやコロナ禍という状況等もあって提案件数は減少しているものの、採択された提案は、利用者へのサービス向上やリスク管理、業務の効率化等に効果を上げた。
(5) 相談解決体制の充実
介護や支援に対する相談、苦情又は要望への相談体制と第三者による相談対応窓口について、利用者や家族に周知するとともに、職場におけるハラスメント防止に関する細則や相談対応マニュアル等に基づき、職員からの相談や苦情に迅速かつ適切に対応した。
(6) 職員研修の充実
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くの県外研修等を中止とする一方、職員の意識と介護技術や専門性の向上を図るため、開催時期を工夫して、対面型研修を実施するとともに、ビデオ会議ツールなどを用いたオンライン研修を多用して、人材育成によるサービスの質の向上を図った。
2 健全経営
(1) 健全経営の推進
① 「経営計画」に基づいて設定した目標利用率を達成できるように、市町村など関係機関と連携を密にして利用者確保及び入退所期間のタイムラグの短縮に努めた。
② 消防設備保守点検業務、施設の火災保険等に継続して入札を実施するとともに、桃源荘の受水槽更新工事、はまなし寮のナースコール改修工事に一般競争入札を行うほか、給食消耗品の法人一括発注など、経費削減に努めた。
③ 人件費の適正化等のため、各種手当等検討部会を設置し、他県の事業団等の各種加算制度の導入状況や、諸手当、賞与等の状況を調査する中で、検討を進め、ベースアップ等支援加算等の導入方針、賞与計算や住居手当の見直し案について提案し、翌年度の制度導入等に繋げた。
(2) 理事会等の開催
① 理事会
事業計画、収支予算等の決議、事業報告、計算書類等の承認等を行うため、書面開催を含め、年3回、理事会を開催した。
② 評議員会
事業計画、収支予算等の承認並びに事業報告及び計算書類等の承認等を行うため、年2回、評議員会を開催した。
③ 監事会
業務の実施状況及び財務状況を監査するため、監事会を開催した。
(3) 法人の経営管理
① 経営会議の開催
毎月、定例的に、理事長、施設長等で構成する経営会議を開催し、経営に関する基本方針等の重要案件を協議するとともに、各施設の利用状況を検証し、対応策等を検討した。
また、経営会議の下部組織として、事業団職員で構成する「サービス向上部会」、「研修部会」、「各種手当等検討部会」等を設置し、利用者サービスの向上対策、研修内容の改善、その他経営会議の業務に必要な事項について調査研究を行った。
② 人事労務管理
イ 大学や専門学校と連携して新卒者の確保に努めるとともに、実務経験を有する者についても積極的に雇用した。
特に、正規職員の採用に当たって、新規学卒者中心の年度採用については、新たに通年募集することとし、採用試験を9月以降、毎月実施して、その都度、採用内定を出すこととした。
更に、実務経験のある中途採用については、看護職員の資格要件を緩和するとともに、事業団に勤務する意思のある方を職員が紹介して採用に至った場合は、紹介職員に報奨金を支給する職員紹介報奨制度を創設した。
その結果、令和5年度の採用予定者は、新規学卒者9名を含む15名を、中途採用者は7名を確保することができた。
ロ 全職員を対象に人事考課を実施し、職員の昇給(降給)、賞与等に的確に反映させることにより、職員処遇の公正化、職員の意識改革・能力開発及び組織運営の効率化を図った。
ハ 全職員を対象にストレスチェックを行い、職員のストレスの程度を把握してメンタルヘルス不調を未然に防止し、働きやすい職場づくりを推進した。
ニ 「職場におけるハラスメントの防止に関する細則」により、パワーハラスメントその他のハラスメントの防止に努めるとともに、「コンプライアンス行動規範」、「コンプライアンス行動基準」に基づいてコンプライアンスの徹底を図り、職員が働きやすい環境の整備等に取り組んだ。
また、コンプライアンスチェックシートにより、職員各自がコンプライアンスを自覚し、実践してもらうことに努めた。
ホ 「働き方改革」による年5日の年次有給休暇を確実に取得するため、各施設において業務改善の取組を推進した。
③ 障害者雇用の推進
障害の有無に関わらず、誰もが活躍できる社会の実現のため、障害者の雇用に努め、令和4年度の実雇用率は、前年度を0.36%上回り、2.08%となったが、引き続き、法定雇用率をクリアできるように努力する。
④ 広報活動の推進
事業団ホームページにより、各施設の事業内容や決算状況、求人情報等を発信するとともに、従来、採用案内等を年に数回掲載していたインスタグラムを充実し、採用情報だけでなく事業団の行事や研修等の多様な情報を掲載し、事業団の生の情報を積極的に発信することに努めた。
⑤ 関係機関との連携推進
事業団の運営をより一層発展させるため、全国社会福祉事業団協議会等との連携を推進した。
また、全国社会福祉事業団協議会関東・甲信越ブロックの当番幹事として、必要な役割及び業務に遺漏がないように努めた。
(4) 施設・設備等の整備
「経営計画」に基づく整備を進めるとともに、県等の補助金を活用しながら必要な施設・設備等の整備を行った。特に、新型コロナウイルス対策として、有利な補助金を活用し、空気清浄機等の整備に努めた。
更に、公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会からサテライト桃源荘に福祉車両の寄贈を受けた。
また、もえぎ寮の移転については、山梨県及び大月市の協力を得て、移転候補地の検討等を行った。
○ 主な施設・設備等の整備
・桃源荘 受水槽の更新工事(17,930千円)
・はまなし寮 ナースコール改修工事(13,167千円)
・豊寿荘 厨房スチームコンベクションの更新(924千円)
・明生学園 外灯等設備の修繕(685千円)
<新型コロナウイルス感染防止対策>
・豊寿荘外5施設 空気清浄機(91台)、サーキュレーター(35台)、扇風機(25台)、二酸化炭素測定器(2台) 計 7,653千円
〇 福祉車両の寄贈
・サテライト桃源荘 エブリイワゴン(スロープ付き軽自動車)1台
(5) 人材の確保と福利厚生
① 人材確保・育成対策の推進
質の高いサービスを提供し、将来の施設経営を担う優秀な介護・福祉人材等を確保するため、大学や専門学校等と連携して、令和4年4月1日付けで、新卒者を5名、実務経験を有する者を10名(うち看護師等6名)採用した。
また、「介護職員処遇改善加算」、「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」等を取得し、「ベースアップ等支援加算」等の導入検討を進めて、介護職員等の処遇改善について対応するとともに、多様な職員研修を実施する中で人材の育成に努め、将来の事業団を担う職員を養成した。
更に、福祉人材育成への協力と人材確保のため、インターンシップや実習生の受け入れを行った。
② 福利厚生事業の推進
職員相互の親睦と職場の活性化を図るため、レクリエーション代替事業等を実施した職員互助会に対し助成するとともに、職員の福利厚生充実のため、継続して、全事協年金共済事業及び福利厚生センター等に加入した。
また、職員の健康診断や35歳以上の職員を対象に人間ドック助成事業(5年に1回、3万円を限度:5名に助成)を実施した。
3 地域貢献
(1) 福祉の拠点施設としての機能発揮
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、各種行事や交流事業等が中止となったが、そうした中でも、施設周辺地域の清掃活動への参加、インターンシップや実習生の受け入れ等を行った。
また、感染防止対策を行う中で、各種団体等に事業団(きぼうの家)研修室等を開放した。
(2) 危機管理体制の整備推進
① 大規模地震や豪雨災害、火災等を想定した避難・防災訓練を実施し、非常時における利用者の安全確保に万全を期すとともに、大規模災害発生時の事業継続に必要な災害用備蓄を進めた。
また、浸水によるデータ喪失に備え、継続してバックアップサーバーを設置した。
② 毎年度、はまなし寮で実施している富士山噴火避難訓練は、感染状況下を踏まえ、施設車両の招集・乗車訓練は中止し、本部との避難連絡、避難準備品の確認等の訓練を実施した。
③ 新型コロナウイルス対策として、各施設で、職員、利用者にワクチン接種を実施するとともに、新型コロナウイルス用事業実施継続計画や衛生管理・感染対策マニュアルに基づき、研修やシミュレーションを実施した。
更に、新型コロナウイルスのクラスター等が発生した施設については、状況を検証し、その経験を他施設の感染防止にも活かすため、経営会議で情報共有を図った。
④ 防犯・安全対策を推進するため、防犯カメラ等を引き続き活用した。
(3) 福祉避難所等
大規模災害の発生時に、地元市町の要請に応え、地域の高齢者や障害者など災害時要援護者を可能な限り受け入れる「福祉避難所」を設置することとしており、きぼうの家においては、洪水発生時等の地域住民の一時避難場所として、非常備蓄品の整備や駐車場の解放等の協力体制を継続して行った。
主な事業
Ⅱ理事会・評議員会の開催、監査の実施等
1 理事会
(1) 令和4年5月30日(月)
[議決事項]
① 令和3年度事業報告の承認について
② 令和3年度社会福祉事業区分収入支出決算の承認について
③ 令和4年度社会福祉事業区分収入支出補正予算について
④ 職員の育児・介護休業等に関する規程の一部改正について
⑤ 施設長等の選任について
⑥ 定時評議員会の招集について
⑦ 理事候補者の選定について
[報告事項]
① 理事長の職務執行状況について
(2) 令和4年6月14日(火)
[議決事項]
① 社会福祉法人山梨県社会福祉事業団理事長の選定について
(3) 令和4年8月31日(水)<書面決議>
[議決事項]
① サテライト桃源荘における介護事故に係る示談について
(4) 令和5年3月20日(月)
[議決事項]
① 令和4年度社会福祉事業区分収入支出補正予算について
② 令和5年度事業計画及び社会福祉事業区分収入支出予算について
③ 評議員選任・解任委員会委員の選任について
④ 評議員会の招集について
⑤ 理事長の職務執行状況について
2 評議員会
(1) 令和4年6月14日(火)
[報告事項]
① 令和3年度事業報告について
[決議事項]
① 令和3年度社会福祉事業区分収入支出決算の承認について
② 令和4年度社会福祉事業区分収入支出補正予算の承認について
② 理事の選任について
(2) 令和5年3月29日(水)
[決議事項]
① 令和4年度社会福祉事業区分収入支出補正予算の承認について
② 令和5年度事業計画及び社会福祉事業区分収入支出予算の承認について
3 監査の実施
令和4年5月25日(水)に監事会を開催し、令和3年度の業務の執行状況及び財務の状況(収支決算)について、監事による監査を受けた。
法人の経営管理
Ⅲ 法人の経営管理
1 経営会議の開催
経営に関する基本方針や予算編成方針の策定、職員採用計画、処遇改善策等の重要案件を協議するとともに、各施設の利用状況や半期ごとの収支状況によって事業団の経営状況を把握し、必要な対応策を検討した。
また、毎回、各施設の利用状況を検証し、対応策を検討した。
(1) 令和4年4月12日(火)
・令和4年度の基本方針について
・令和4年度危機管理体制について
・令和4年度人事考課日程について
・職員紹介報奨実施要綱について
(2) 令和4年5月20日(金)
・令和3年度収入支出決算状況について
・令和4年6月期賞与の支給について
・令和4度ストレスチェックの実施について
(3) 令和4年6月17日(金)
・令和3年度収入支出決算分析について
・内部監査の実施について
(4) 令和4年7月15日(金)<WEB会議>
・令和4年度職員採用計画について
(5) 令和4年8月30日(火)<WEB会議>
・職員紹介報奨実施要綱の一部改正及び運用について
・内部監査の結果について
(6) 令和4年9月21日(水)<WEB会議>
・令和4年度事業団内施設交流研修について
(7) 令和4年10月19日(水)
・令和5年度人事異動基本方針について
(8) 令和4年11月16日(水)
・令和4年度上半期事業活動収支状況について
・令和5年度予算編成に対する基本的な考え方について
(9) 令和4年12月16日(金)<WEB会議>
・令和4年度昇格選考試験の実施について
・令和4年度正規職員登用試験の実施について
(10) 令和5年1月18日(水)<WEB会議>
・令和5年度経営会議開催日程について
・労働組合からの要求に対する回答について
・新年度の課題及び令和5年度予算要求の重点事項について
(11) 令和5年2月15日(水)
・新型コロナウイルスのクラスター等に関する情報共有について
(12) 令和4年3月9日(水)
・令和5年度研修計画について
・新型コロナウイルスのクラスター等に関する情報共有について
2 危機管理対応会議の開催(経営会議と同一メンバーで構成)
大規模地震や豪雨災害、富士山噴火等の大規模災害に備えた危機管理体制を整え、災害時等における諸課題を協議するため、危機管理対応会議を開催した。
(1) 令和4年6月17日(金)
・「はまなし寮における富士山噴火総合避難訓練」の実施について
・大規模水害時の広域避難に向けた指針について
・事業継続計画及び大規模災害時避難計画の修正について
3 人事労務管理
(1) 職員の状況(R4年度)
① 職員定数 23人(経営計画:常勤換算後)
② 令和4年度当初職員数 297人(常勤換算後の実員311人)
③ 採用者数(正規登用を除く。) 41人(正規職員15人、契約職員26人)
④ 退職者数 48人(正規職員24人、契約職員24人)
⑤ 正規職員登用数 2人(③の採用者数に含まない。)
⑥ 人事関係日程
令和4年 4月 1日(金) 採用、昇任等辞令交付
令和4年 6月 3日(金) 職員採用試験(第1回:中途採用)
令和4年 7月 1日(金) 7/1付け採用辞令交付(局長・看護師)
令和4年 7月15日(金) 令和4年度職員採用計画の決定
令和4年 7月20日(水) 職員採用試験(第2回:中途採用)
令和4年 9月22日(木) 職員採用試験(第3回:中途採用)
令和4年10月 4日(火) 職員採用試験(第4回:新卒採用)
令和4年10月19日(水) 令和5年度人事異動基本方針の決定
令和4年11月18日(金) 職員採用試験(第5回:新卒・中途採用)
令和4年12月12日・13日 理事長人事ヒアリング
令和5年 1月 4日(水) 1/1付け採用辞令交付(准看護師)
令和5年 1月17日(火) 職員採用試験(第6回:新卒採用)
令和5年 1月19日(木) 昇格選考試験
令和5年 2月 1日(水) 2/1付け採用辞令交付(准看護師)
令和5年 2月 9日(木) 職員採用試験(第7回:新卒採用)
令和5年 3月 9日(木) 人事考課調整会議
令和5年 3月31日(金) 退職辞令交付
(2) 職員の福利厚生【職員互助会の活動】
・職員相互の親睦と職場の活性化を図るため例年実施しているレクリエーション事業(球技大会、グラウンドゴルフ大会及びボウリング大会)は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止し、代替事業として「職員オンラインくじ引き大会」を開催した。
・職員の資質向上を図り、専門資格取得を奨励するため、資格を取得した職員に奨励金(20千円)を支給した。(介護福祉士6名、介護支援専門員1名)
・臨時の支出や資金を必要とする職員に貸付を行った。(1件:300千円)
・結婚、出産、傷病等に対して給付事業を行った。
Ⅳ その他
1 広報活動の推進
事業団のホームページに、基本理念や経営方針、事業報告・決算状況、各施設の事業内容や顧客満足度調査の結果、求人情報などを掲載するとともに、事業団職員としての自覚と誇りを喚起し職員同士の一体感を醸成するため、広報紙「ハーモニー」を四半期ごとに発行(各450部)した。
また、各施設に広報責任者及び担当者を配置し、各施設が行う様々な事業や活動などの情報を積極的に発信した。
2 関係機関との連携
事業団の運営をより一層発展させるため、全国社会福祉事業団協議会等との連携を推進し、同協議会関東・甲信越ブロックの当番幹事として必要な役割及び業務を担うとともに、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、WEBで開催された全国大会、関東・甲信越ブロックの会議に参加した。